「気に入ったものだけ…」のつぶやきが、『減災収納』の始まり。

 

こんにちは、暮らしのアドバイザー土井けいこです。
「暮らしがラクになる『減災収納』」。
短期集中連載、今日は3回目です。

 

『減災収納』という暮らし方のきっかけとなった、
阪神・淡路大震災での私の被災体験をお伝えしています。

昨日は、
住まいから吹き上がる黒煙を見ながら
「これからは、気に入ったものだけで毎日を(大切に)楽しもう」と、
口にしていた、というお話をしました。

今日は、思わず口にした言葉には
それなりの理由、背景があった、という話です。

 

使わないものが押し入れやキッチンに詰まっていた!

 

「気に入ったものだけで…」
それは、思考がすべて壊れてしまった時、つぶやいた言葉。

地震後しばらくは、先の安全も確保されていない中で
なんてバカなことを言ったのだろう・・・と思っていました。

でも、口にした言葉は
忘れるどころか、強く大きく記憶に残り、
その後、暮らしを立て直す私の原動力にさえなったのです。

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↑夏はブルー系、冬は赤系と楽しんでいた和室の押入れの中はギッシリ着ない服が詰まっていた。白い扉の中には、未使用の通信大学の教科書がぎっしり入っていた。

 

地震に遭う前の私は、
暮らしやすく工夫する過程で、
多くのものをうまく収納することに苦心することに熱心だった…
が、収納スペースに適した量を保つことは
考えていなかった(苦笑)。

キッチンシンク下には使わない調理道具がぎっしり。
ボウルやザルもいくつ持っていたことか。

身に着ける服や靴の買い物にはとても熱心だったけれど、
キッチン用品などは使いにくい、と思いながらも、
今のがあるんだから、と後回しにしていました。

 

和室押入れの一角には、
「着ない」とわかっている服を
たくさんしまっていたんです。

じつはそれさえも、どうやって収納しようか、
収納の工夫で解決できると思っていた気がします(失笑)。

それを管理していると思っていたんですね。

愛着もなくこの先使わないものは、
手放した方が暮らしが良くなるということが、
そのときわかっていませんでした。

いや、うすうすだけど、わかっていた?

 

「いつか」ではなく「今」を良くしていきたい!

 

何度も言いますが、
当時の私は、
料理や、掃除がしやすくて
見た目も居心地がいい収納を目指していました。

それは間違いではないけれど…。

 

1回目にお話したように
置き場所、置き方、しまい方も管理の一環です。

だけど、使わないモノを手放すタイミングも考えておかなければ
ものはあふれますよね。

当時を思い起こすと、
スペースが限られていた(今の半分ほど)にも関わらず、
使わないとわかっているものまでも
収納方法に苦心(工夫)していた…なんて、
ほんとうに笑えない話です。

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暮らしに必要としていないもの
なんとなく買って使いにくいと感じるものも
工夫して収納していたんです。

 

暮らしの道具をぞんざいにして
身に着けるものに関心が高かった。

毎日使う道具を選んでいませんでした。

そういうことは暮らしを良くしないって、
心のどこかでわかっていた。

 

だから、
「これからは、気に入ったモノだけで…」

と、
黒煙を噴き出すのを見ながら口にしたんだと思います。

 

あれは、
「今」を大切にしたい、と自覚した瞬間です。

いつかしたいこと、
先延ばししていることは「今しよう!」って、
黒煙を見ながら思ったんです。

 

確かに収納だけ頑張っていたけれど、
ものすごく「暮らし」を大切に思っていたのも事実だった。

その「暮らし」をあきらめることと引き換えに、
『減災収納』の原点となる、気づきを得た、と思っています。

 

 


posted : 2016年8月25日