私の『減災収納』の原点は、【阪神・淡路大震災】です。

こんにちは、暮らしのアドバイザー土井けいこです。
「暮らしがラクになる『減災収納』」、
昨日から短期集中連載しています。

今日は、
『減災収納』という暮らし方のきっかけとなった
体験をお話します。

昨年30代後半(かなり昔若かった)、
収納を頑張っていた頃の写真も載せます。

地震発生当時と当日の話が出てきますが
今日の写真はすべて地震前の当時の暮らしです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ↑30代後半の3年暮らした部屋。広く見せようと鏡を置いている。

キッチンとの間仕切りにしていた家具の中の収納、ぎっしり!(↓)
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「収納」を改善して、
暮らしを管理しているつもりでした。

1995年1月。
私は神戸の企業で働いていました。

1月17日早朝5時46分。
『阪神・淡路大震災』発生。

当時私は、
現在でいう介護保険サービス、介護保険外サービス、
家事代行など、
介護・家事をサポートする部署で
家事コーディネーターの仕事に就いていました。

お客様の暮らしの悩み、困りごとに向き合い、要望を聞き取り
プログラムを作り、ヘルパー研修にも取り組み、仕事に没頭。

お客様の家で掃除、料理をする機会も多く、
たくさんの『暮らし』を体験。

今でいう認知症のお年寄りとの時間から貴重な学びを得て、
一生の仕事に出会った、と思っていました。

現役で時間が足りないというお客様もいれば、
ひとり暮らし、もしくは老夫婦というケースも。

そういう中で、
家事がしやすい環境づくりの大切さを痛感。
暮らしの管理が行き届いている方は
望んでいることも明確で、サポートもしやすかった。

暮らしの管理の大切さを知った私は、
自分の暮らしを改善。

住み始めの頃は、
「片づかないな~」と漠然と思っていたのが
3年経つ頃には、とても快適に暮らせるようになって、

特にキッチンは使いやすくて料理がはかどって
工夫のしがいを感じていました。

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↑当時のキッチン
↓シンク・コンロから振り返れば必要なものが手にできた自作の収納

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キッチンに食器棚を置くスペースがなく、
苦肉の作で、シンクすぐ横の水切りかごの下に食器を引き出し収納。
とても使いやすかった。

当時それを見ていた人が
のちに、
「あの頃は引き出しに食器だなんて、画期的でびっくりした」
と言っていました。

我ながらすごかった、と思っています(笑)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA↑地震の5時間前。 古い器に興味を持ち始めていた。

 

収納の写真を撮り続けていた私は、
あの晩、食器の収納写真を撮り、
カメラからフィルムを抜き、テーブルの上にポンと置いて、
午前1時過ぎ眠りにつきました。

その5時間ほど後、あの地震は起こり、

わずか十数秒の揺れで、
なにもかも壊れてしまいました。

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↑地震対策など微塵も頭になかった、ベッドすぐ横の収納

 

大切にしていた「暮らし」を失ったその時、
「これから…」と口にしました

あの朝。

神戸市長田区(鷹取東地区)の
マンションの7階の部屋で眠っていたところを揺れに襲われました。

「ゴジラに建物ごとシェイクされた!」と、
思ったように記憶しています。

どうやって部屋から這い出したのか覚えていなかった。

その時、自分の上に洋服をしまった大きな棚が
ふとんを覆うように倒れていたことは、

何日も経ってから現場を見てわかったことです。

すぐさま脱出口を確保すべく玄関ドアを開けると、
すでに玄関の向こうに火の手が…。

混乱しながら脱出。

外に出ると、夜明け前の暗闇のはずが異様な明るさ。
炎が立ち尽くす人の姿を浮かびあがらせ、
私もその中のひとりでした。

暮らしやすいように試行錯誤を繰り返し、
さあ、これから暮らしを楽しんでいこう、
そう思っていた矢先のこと。

あたりでは、ボン!ボン!と爆発音が聞こえていたけれど、
それに反応することもなく、

「暮らし」が壊れたショックに
ただ呆然として立ち尽くしていました。

朝が来て・・・・
たぶん午前中だったと思います。

私は7階に住んでいたのですが、
2階の人が大きな額を持ち出すのを見て
なにをしてるんだろう?と思ったんです。

隣の建物の人は窓から
(着物が入っていると思われる)包みを投げていました。
そういう事態をみても、
暮らしを失うであろうことはまだ分かっていなかった。

火は住んでいた建物に燃え移りました。

やがて、部屋から黒煙が噴き出し、
道路の向こうにそれを見ながら、すべてをあきらめた私。

そのとき、
「これからは、気に入ったものだけで毎日を(大切に)楽しもう」と、
口にしていました。


『減災収納』という暮らし方、が芽生えた瞬間です。


posted : 2016年8月24日