家電に頼り切らない暮らし。 すり鉢で気づく、もしものときの自分を守る力

「なくてもできる方法」をひとつ知ると、暮らしは強くなる。

暮らしを見なおすきっかけは、
特別な日ではなく、
ふだんの生活の中にあります。

家電があって当たり前。
スイッチひとつで何でもできる。
それは、気づかないうちにできた“思い込み”かもしれません。

そのことに気づくと、
暮らしは少し違って見えてきます。

便利さに頼り切る暮らしは、
実はとても“もろい”のかもしれない。

見直してみると 「別の方法がある」ことに気づく。

試してみると、 ちょっとわくわくしたり、
繰り返す日常に 小さな感謝の芽が生まれたり。

その積み重ねが、 家事を気持ちよく、ラクにしてくれる。

そして—— 経験に裏付けされた暮らしの知恵は、
自分を育て、 もしものときの自分を守り、 その後の再建の力にもなる。
神戸での被災から31年。
今その気持ちを新たにしています。

今日は、 “あるのが当たり前”と思っていた
キッチン家電を見直す話です。

■ コーヒーメーカーに戻らない理由

受講生さんが、 「コーヒーメーカーを持て余している」と話してくれました。
便利だけれど、場所を取る。 でも手で淹れるのはむずかしそう。

「練習してみて。慣れますよ」 そう伝えたら、
すぐに行動に移されました。

粉が切れて、豆しかない。 ミルもない。
そこで思いついたのが—— すり鉢とすりこぎ

あるもので工夫する力は、 暮らしの中で自然に育つもの。
その姿勢が、私はとても好きです。

私も試してみました。
手挽きミルの倍の時間がかかったけれど、
その3分間は体幹トレーニングのようで、
ちょっと楽しい時間でした。

「できない」ではなく、
「どうしたらできる?」と考える。

その思考が、暮らしを強くします。


■ 家電に頼り切ると、不自由になる

家電は便利です。 でも、停電したらただの箱。

IHでご飯を炊いていたとき、
途中でコンセントが抜けて慌てていた方がいました。

慌てて困っている方のそばにいた私は
鍋の蓋を少し開けて状態を確認し、
弱火で10分と判断して炊き上げました。

家電に任せきりだと、 “自分で判断する力” が育ちません。
それは、実はとても不自由なこと。

忙しい朝に家電が助けてくれるのはありがたい。
でも、時間があるときは 自分の手で淹れたり、炊いたりできると、
暮らしはぐっと豊かになります。

■ あるもので工夫する暮らしは、生きる力

すり鉢で豆を挽いた受講生さんは、
「楽しくなってきた」と話してくれました。

工夫する暮らしは、
ただの“節約”でも“我慢”でもありません。

  • 自分で考える
  • 自分で選ぶ
  • 自分で動く

その積み重ねが、
もしものときに自分を助ける力 になります。

震災を経験した私にとって、
これは実感としてあることです。

家電がなくても暮らせる方法を
ふだんから少しずつ試しておくと、 心が丈夫になります。

《追伸・質問がありました》

「電子レンジはどうしていますか?」

壊れたのをきっかけに
電子レンジを手放して約20年。
冷凍ごはんは蒸かすようになりました。

「オーブントースターは?」

ガスコンロのグリルでトースト。
ごはんは土鍋で炊きます。
詳しいことは
あらためて取り上げます。





できることを、できるときに。
その積み重ねが、心を丈夫にしてくれます。


暮らしをほどくきっかけを届ける
暮らしのアドバイザー 土井けいこ

※この記事は、2020年の記事を2026年の視点で書き直しています。