暮らしのアドバイザー土井けいこです。
「暮らしがラクになる『減災収納』」
短期集中連載6回目。
『減災収納』という暮らし方のきっかけとなった、
私の被災体験をお伝えしています。
日々の暮らしは、なかなかラクではありません。
だからこそ、暮らしを管理して、ムダを省いて
ラクに楽しく、できる工夫を重ねて、
自分のために今日を大切に生きていくのです。
昨日の続きです。
阪神・淡路大震災で被災。独立。
震災を体験しての暮らしへの思いを伝えたくて、
仕事のテーマは、
「丁寧な暮らしのための家事の合理化」としました。
撮影/藤岡信代
家事をイヤイヤしては、自分の人生の時間がもったいない。
阪神・淡路大震災の前の日、
1月16日まで、
私は、晩ごはんの片づけがイヤで、イヤで、
しようがなかったんです。
あの頃は、
「汚れもの」「後片づけ」としか
とらえていませんでしたから。
だけど、あれからの私は、
洗い物をしながら
どんどんきれいになっていく気持ちよさを
感じるようになりました。
さらに、最近、とてもまめに
家事をするようになっています。
ためてするのは体力がついていかない、
ということもありますが、
60歳をきっかけに、
意識してこまめに手を動かすように。
そうしたら、
考えないうちに手先が働いてくれるようになって
家事がラクにはかどるようになっています。
水滴を見たら手が勝手に動いて拭く…
そういう感じで、
拭いたふきんもこまめに洗って気持ちがいい。
それでも、動けなくなってしまうときもあります。
「人間だもの」。
あら、このことば、どこかで聞きましたね(笑)。
めんどうと思う時はくたびれているとき。
そんなときは、「めんどうくさい!」と声に出します。
そうすると、今日を気持ちよく終えて、
明日を迎えたいという気持ちが湧いてきて、
「よし、やろう!」と思えます。
ほんとうです。
「やりたくない」と思う自分を、
声に出して受け止めてあげるってすごく大事。
誰かにやらされているような気持ちだと、
しんどいです。
自分で「やる!」と決めると、
不思議と力が湧いてくるんですよ。
撮影/藤岡信代
苦しいとき、大変なことにぶつかったときこそ、
そう思います。
先にやらなくてはいけないことをやる。
それは自分の力になっていくことだから。
そう思っていると「後でいいや」が
頭の中で「今しよう!」に変換されて、
体が動きだします。
家事をイヤイヤするのも、
気持ちよくするのも、同じ自分の時間。
「私」の人生の一部です。
私は、自分の人生の時間は大事にしたい。
大事にするとは、好きなことだけするとは違う。
力にしていく、という意味です。
「家事はするのが当たり前と思っていた。
楽しむなんて考えたこともなかった。」という声を
講座を受けた方から時々聞きます。
暮らしに費やす時間も自分の人生の時間。
地震対策だって、自分でする作業は家事のひとつです。
家族のためにする家事の時間も
実は自分の時間。
そう思えば、地震対策も暮らしながら
構えずにラクにできていきます。
丁寧な暮らしのための時短家事で、生きる力をつけよう。
時短家事って、
いかに家事に時間をかけないか、
それが目的になりがちでは?
それだと、
地震とか災害が自分の身に降りかかってきたとき
役に立たないかもしれない。
電子レンジや電気炊飯器が使えなくなったら困ります。
「お鍋でご飯を炊ける」って大事。
…と、あるとき若い方に言いましたら、
「私お鍋で炊いています!」と言いました。
ところが…、何かでコードが外れた途端、
ちょっと混乱。
IH調理器の炊飯キーにお任せだった。
お鍋のふたをそっとあけてみると
水分がなくなっていたので「あと10分蒸らしてみましょう」
ということになりました。
ガスで炊いても自動キー任せでは同じこと。
30年以上飯盒を使っていない私が
偉そうに言えませんが(苦笑)。
火加減は体で覚えておくのが生きる力になる。
便利なものは使いこなす。
便利なものに頼って
時短家事っていうのは違うな~、
と思っています。
この連載のはじめにもいいましたが、
合理性のないこだわり、
気づかない動きのムダをなくすことが
丁寧な暮らしのための家事の合理化=時短家事
と、私は考えています。
家事は苦手。
なんで私ばっかり、と思っている人がいるかもしれません。
「いつか片づけよう」と、
暮らしのことが先延ばしになっている人もいるかもしれません。
「今」の自分の力でできることを
確実にしていきましょう。
6回にわたって、私の震災体験をお伝えしてきましたが、
明日以降は、
暮らしがラクに管理できるようになることを目指して、
安心を増やす「減災対策」と
家事がしやすい「収納の工夫」、
お掃除が苦手な方のための「掃除のコツ」など、
ふだんのくらしに役に立ち
災害時にも役に立つことをお伝えしていきます。
posted : 2016年8月31日